輝く女性の生き方図鑑 Vol.86
40代 「NPO法人 にしよど にこネット」代表 2児の母
大阪の西淀川区に、地域で暮らす親子を対象に様々な角度から
子育てを支援する活動を続けているグループがある。
子育てサークルのサポート、親子で楽しめるイベントの開催、
子育てに役立つ地域の情報の発信、乳幼児親子の交流の場の運営、
地域の小学校で行う「いのちの授業」...などなど
その事業内容は10事業を超える。
お母さんたちのボランティアを中心とした活動であるにもかかわらず
その活動の規模の大きさをうかがって、とても驚いた。
小さな子育てサークルからスタートしたこの取り組みは、
10年の年月を経て、今では「NPO法人 にしよど にこネット」として
行政などとも連携して活動の幅を広げている。
今日は、そんな「NPO法人 にしよど にこネット」代表の原博美さんのご紹介。
高校卒業後、看護師として10年以上仕事をしてきた博美さん。
30歳の頃結婚し、しばらくは家庭や育児に専念しようと退職。
現在暮らしている西淀川区へ引っ越してきた。
やがて、2人のお子さんに恵まれたが、年子で生まれた下のお子さんに
「癌」の疑いがあることを告げられる。
結局、その疑いが大事に至ることはなかったが、
結果がわかるまでには、検査などで半年以上の時間を要した。
年子の上のお子さんを育てながら、病院へ通うのも大変だったし、
当時はまだ子育て支援のようなものもなかった時代。
周りに相談できる人もいなくて、孤独を感じながら不安な毎日を過ごしていた。
「困っている時にサポートのない世の中だなぁ。」とこのできごとを機に実感する。
ある日、新聞の中に
「子育て現場と専門職を繋ぐ子育てのネットワークをつくろう」という記事を見つける。
フォーラムが開催されるということを知り、それがどういうものなのかも良く分からなかったが、
なんとなく興味を持ち、4人くらいの友だちを誘って参加してみることにした。
そこでは、思春期外来のドクターが今の日本の子どもたちや子育て環境の問題について
わかりやすく話をされていた。
今のお母さんたちは、孤立し、皆孤独を感じながら子育てをしているということ。
様々な問題を抱えた子どもたちが、思春期外来へとやってくるが、
何か問題が起こってからの治療ではなく、0歳児からの予防が大切であること。
そのためには、子育てをしているお母さんたち、
そして、子育て支援のネットワークが重要なカギとなること などの話を聞き、
博美さんは、「自分自身も孤立しているんだ」という事実に気付くと同時に、
それは、「自分だけの話ではないのだ」ということを初めて知る。
当時先駆けて子育てネットワークの活動を行っていた
貝塚市のお母さんたちの生き生きとした発表も聞くことができた。
お母さんという立場だからこそ生まれる発想から、様々な行動をおこし、
その情熱は、結果としてパパ達も巻き込み、行政をも動かしていた。
発表するお母さんたちは、皆とても開放的で、楽しそうだった。
そんな生き生きとしたお母さんたちの姿を目の当たりにして、
「自分たちも、こんなネットワークをつくりたい!」そんな想いが博美さんの中に湧きあがってきた。
そして、周りに声をかけて立ち上げたのが、 子育てサークル「おててつないで」 だ。
それは、7組の親子でスタートした小さなサークルだった。
サークルを立ち上げた当初は、何をすれば良いのかすらわからない。
いろいろなサークル活動を見学しに出かけ、勉強するところからのスタートだった。
何もわからない初めての試みは、上手くいかないことばかり。
まずは、会場探しから苦労する。
電話でいろいろなところに問い合せをしてみたが、すべて断られた。
当時はまだ、「子育てサークル」という言葉自体が珍しく、
国としての取り組みも全くなかったので、区役所や児童館などの対応もとても冷たいものだった。
「サークルって何?」「公園で遊んでいればいいじゃない」と冷たくあしらわれてばかり。
「もうこれでダメなら諦めようか...」と思っていた10箇所目。
最後に問い合せをした勤労青少年ホームで初めて、女性館長さんが「いらっしゃいよ。」と言ってくれた。
そして、館の関係者全員が反対する中、
館長さんの説得により、なんと広い遊戯室を無償で貸してもらえることになったのだ。
館長さんの気持ちに後押しされた博美さんたちは、
それだけの場所を貸してもらえるのだからと、
「西淀川中の親子に声をかけてみよう!」と手作りのちらしをつくり、公園を配って回った。
そんな積極的な働きかけのおかげで、サークルの説明会には50組の親子が集まり、
結果、30組がサークル活動に参加してくれることになった。
お母さんたちのパワーには、圧倒されるばかりだ。
あれから10年。
続けていれば、いろいろな課題や参加者からの不満も出てくる。
壁にぶち当たり、止めようと思ったことは何度もあった。
何かをしようとする時の社会の反応に驚くことも。
それでも、解決するためにはどうしたら良いのかを皆で考えながら、
諦めずに少しずつ前に進んできた。
大変だったことを数えあげればキリがないが、それ以上に「やる喜び」もいっぱい感じることができたし、
色々な親子に関われば関わるほど、自分たちの活動はやっぱり大事なことなんだって思う。
続けていくことに意味がある。
博美さんたちの活動は、今では区報にも載るようになった。
当時には考えられなかったことだ。
今年で9年目になる「いのちの授業」では、地域の小学校に足を運び、
妊婦さんに妊娠や出産の喜びを語ってもらい、児童と触れ合ってもらっている。
この取り組みも、学校へ提案してから実現するまでに3年の年月を経てやっと実現した。
妊婦さんの想いを聞き、お腹を触らせてもらった子どもたちは、
家庭に帰ってからも、その感動をお母さんたちに話すそうだ。
授業後の家庭へのアンケートを読ませてもらったが、感動して思わず涙が...。
妊娠中の今の気持ち、出産の時の気持ちを
私も産まれてくる我が子に話してあげたいなぁと思った。
今年は区内の小学校13校と高校1校で開催。
PTAや地域の人からの要望に応え講演会も行った。
792名の児童と交流。延べ100名のスタッフが活動し、
妊婦さん48名、赤ちゃん親子20組が参加。
先生や保護者見学者も含めると約1,000人の人と人が交流した。
この活動は新聞の取材を受け、その反響は大きく、
いろいろな地域から「うちでもやってほしい」と問い合わせがきたそうだが
博美さんは地域でやること、その地域のママさんや妊婦さんが参加して行うこと
に意味があると思っているそうだ。
だから、自分たちが出かけて行うのではなく、そのノウハウを伝えるようにしている。
かつて博美さんが貝塚市のお母さんたちに影響を受けたように
博美さんたちの活動に影響され、活動を始めた地域も出てきているそうだ。
博美さんのお子さんは、今では高校生。
一般的には、子どもが大きくなったら解散というサークルがほとんどの中、
後輩ママさんたちに継承、引き継ぎながら活動を広げ、続けてきた。
途中からは、看護師の仕事も再開。
仕事との両立で忙しい日々を過ごしながらも、辞めることなく活動を続けてきた。
すべてボランティアだ。
どうしてそんなに頑張れるんだろう...。
博美さんは、 若い頃は自己肯定感が低く、
「自分は役に立たない人間」「孤独でいる方が良い」「人生はそんなもの」と思っていた。
「死にたい」とさえ思ったこともある。
でも、ある心理学のセミナーに参加して、
「人は抱きしめられたいんだ」「自分でも役に立つことがあるんだ」
と気づくことができたのだそう。
今は、人の役に立てることに感謝している。
人と繋がれば、時にはしんどいことや嫌なこともある。
誰もが「人間関係の悩み」として一度は経験したことがあるだろう。
それでも、繋がることで元気がもらえるし、繋がることで喜びを感じることができる。
その素晴らしさを博美さんは、実感として知っている。
ママになった時が、「人と繋がる」「周りの人や地域の人と助け合う」チャンス
と語ってくれた博美さん。
「NPO法人 にしよど にこネット」のスタッフは、
人と人とを繋ぐファシリテーターの役割が強い。
活動を通して博美さんは、ママたちに
「人と人とが繋がる素晴らしさ」を一番に伝えているのかもしれない。
ママになる時、女性は人と繋がり、何かを始めるチャンスを得る。
子どもは、そんな素晴らしいギフトをもって生まれてきてくれるのかもしれない。
それならば、勇気をもって一歩踏み出してみたい。
すっかり規模の大きくなった現在のプロジェクトの中核を支えてくれているお母さんたちは60名ほど。
そして、300組の親子が活動に参加している。
今回のインタビューは、乳幼児親子の交流の場「にっこりRoom」にお邪魔させていただいたが、
活動されているお母さんたちの生き生きとした姿がとても印象的だった。
今の活動を続けながら、今後は現在関わっている乳幼児と高齢者や障害者
を繋ぐようなことにも取り組んでいきたいのだとか。
人と人とを繋ぐお母さんたちの取り組みは、
まだまだ広がっていきそうだ。
博美さぁ~ん、素敵なお話をありがと~~~。
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40代 「NPO法人 にしよど にこネット」代表 2児の母
大阪の西淀川区に、地域で暮らす親子を対象に様々な角度から
子育てを支援する活動を続けているグループがある。
子育てサークルのサポート、親子で楽しめるイベントの開催、
子育てに役立つ地域の情報の発信、乳幼児親子の交流の場の運営、
地域の小学校で行う「いのちの授業」...などなど
その事業内容は10事業を超える。
お母さんたちのボランティアを中心とした活動であるにもかかわらず
その活動の規模の大きさをうかがって、とても驚いた。
小さな子育てサークルからスタートしたこの取り組みは、
10年の年月を経て、今では「NPO法人 にしよど にこネット」として
行政などとも連携して活動の幅を広げている。
今日は、そんな「NPO法人 にしよど にこネット」代表の原博美さんのご紹介。
高校卒業後、看護師として10年以上仕事をしてきた博美さん。
30歳の頃結婚し、しばらくは家庭や育児に専念しようと退職。
現在暮らしている西淀川区へ引っ越してきた。
やがて、2人のお子さんに恵まれたが、年子で生まれた下のお子さんに
「癌」の疑いがあることを告げられる。
結局、その疑いが大事に至ることはなかったが、
結果がわかるまでには、検査などで半年以上の時間を要した。
年子の上のお子さんを育てながら、病院へ通うのも大変だったし、
当時はまだ子育て支援のようなものもなかった時代。
周りに相談できる人もいなくて、孤独を感じながら不安な毎日を過ごしていた。
「困っている時にサポートのない世の中だなぁ。」とこのできごとを機に実感する。
ある日、新聞の中に
「子育て現場と専門職を繋ぐ子育てのネットワークをつくろう」という記事を見つける。
フォーラムが開催されるということを知り、それがどういうものなのかも良く分からなかったが、
なんとなく興味を持ち、4人くらいの友だちを誘って参加してみることにした。
そこでは、思春期外来のドクターが今の日本の子どもたちや子育て環境の問題について
わかりやすく話をされていた。
今のお母さんたちは、孤立し、皆孤独を感じながら子育てをしているということ。
様々な問題を抱えた子どもたちが、思春期外来へとやってくるが、
何か問題が起こってからの治療ではなく、0歳児からの予防が大切であること。
そのためには、子育てをしているお母さんたち、
そして、子育て支援のネットワークが重要なカギとなること などの話を聞き、
博美さんは、「自分自身も孤立しているんだ」という事実に気付くと同時に、
それは、「自分だけの話ではないのだ」ということを初めて知る。
当時先駆けて子育てネットワークの活動を行っていた
貝塚市のお母さんたちの生き生きとした発表も聞くことができた。
お母さんという立場だからこそ生まれる発想から、様々な行動をおこし、
その情熱は、結果としてパパ達も巻き込み、行政をも動かしていた。
発表するお母さんたちは、皆とても開放的で、楽しそうだった。
そんな生き生きとしたお母さんたちの姿を目の当たりにして、
「自分たちも、こんなネットワークをつくりたい!」そんな想いが博美さんの中に湧きあがってきた。
そして、周りに声をかけて立ち上げたのが、 子育てサークル「おててつないで」 だ。
それは、7組の親子でスタートした小さなサークルだった。
サークルを立ち上げた当初は、何をすれば良いのかすらわからない。
いろいろなサークル活動を見学しに出かけ、勉強するところからのスタートだった。
何もわからない初めての試みは、上手くいかないことばかり。
まずは、会場探しから苦労する。
電話でいろいろなところに問い合せをしてみたが、すべて断られた。
当時はまだ、「子育てサークル」という言葉自体が珍しく、
国としての取り組みも全くなかったので、区役所や児童館などの対応もとても冷たいものだった。
「サークルって何?」「公園で遊んでいればいいじゃない」と冷たくあしらわれてばかり。
「もうこれでダメなら諦めようか...」と思っていた10箇所目。
最後に問い合せをした勤労青少年ホームで初めて、女性館長さんが「いらっしゃいよ。」と言ってくれた。
そして、館の関係者全員が反対する中、
館長さんの説得により、なんと広い遊戯室を無償で貸してもらえることになったのだ。
館長さんの気持ちに後押しされた博美さんたちは、
それだけの場所を貸してもらえるのだからと、
「西淀川中の親子に声をかけてみよう!」と手作りのちらしをつくり、公園を配って回った。
そんな積極的な働きかけのおかげで、サークルの説明会には50組の親子が集まり、
結果、30組がサークル活動に参加してくれることになった。
お母さんたちのパワーには、圧倒されるばかりだ。
あれから10年。
続けていれば、いろいろな課題や参加者からの不満も出てくる。
壁にぶち当たり、止めようと思ったことは何度もあった。
何かをしようとする時の社会の反応に驚くことも。
それでも、解決するためにはどうしたら良いのかを皆で考えながら、
諦めずに少しずつ前に進んできた。
大変だったことを数えあげればキリがないが、それ以上に「やる喜び」もいっぱい感じることができたし、
色々な親子に関われば関わるほど、自分たちの活動はやっぱり大事なことなんだって思う。
続けていくことに意味がある。
博美さんたちの活動は、今では区報にも載るようになった。
当時には考えられなかったことだ。
今年で9年目になる「いのちの授業」では、地域の小学校に足を運び、
妊婦さんに妊娠や出産の喜びを語ってもらい、児童と触れ合ってもらっている。
この取り組みも、学校へ提案してから実現するまでに3年の年月を経てやっと実現した。
妊婦さんの想いを聞き、お腹を触らせてもらった子どもたちは、
家庭に帰ってからも、その感動をお母さんたちに話すそうだ。
授業後の家庭へのアンケートを読ませてもらったが、感動して思わず涙が...。
妊娠中の今の気持ち、出産の時の気持ちを
私も産まれてくる我が子に話してあげたいなぁと思った。
今年は区内の小学校13校と高校1校で開催。
PTAや地域の人からの要望に応え講演会も行った。
792名の児童と交流。延べ100名のスタッフが活動し、
妊婦さん48名、赤ちゃん親子20組が参加。
先生や保護者見学者も含めると約1,000人の人と人が交流した。
この活動は新聞の取材を受け、その反響は大きく、
いろいろな地域から「うちでもやってほしい」と問い合わせがきたそうだが
博美さんは地域でやること、その地域のママさんや妊婦さんが参加して行うこと
に意味があると思っているそうだ。
だから、自分たちが出かけて行うのではなく、そのノウハウを伝えるようにしている。
かつて博美さんが貝塚市のお母さんたちに影響を受けたように
博美さんたちの活動に影響され、活動を始めた地域も出てきているそうだ。
博美さんのお子さんは、今では高校生。
一般的には、子どもが大きくなったら解散というサークルがほとんどの中、
後輩ママさんたちに継承、引き継ぎながら活動を広げ、続けてきた。
途中からは、看護師の仕事も再開。
仕事との両立で忙しい日々を過ごしながらも、辞めることなく活動を続けてきた。
すべてボランティアだ。
どうしてそんなに頑張れるんだろう...。
博美さんは、 若い頃は自己肯定感が低く、
「自分は役に立たない人間」「孤独でいる方が良い」「人生はそんなもの」と思っていた。
「死にたい」とさえ思ったこともある。
でも、ある心理学のセミナーに参加して、
「人は抱きしめられたいんだ」「自分でも役に立つことがあるんだ」
と気づくことができたのだそう。
今は、人の役に立てることに感謝している。
人と繋がれば、時にはしんどいことや嫌なこともある。
誰もが「人間関係の悩み」として一度は経験したことがあるだろう。
それでも、繋がることで元気がもらえるし、繋がることで喜びを感じることができる。
その素晴らしさを博美さんは、実感として知っている。
ママになった時が、「人と繋がる」「周りの人や地域の人と助け合う」チャンス
と語ってくれた博美さん。
「NPO法人 にしよど にこネット」のスタッフは、
人と人とを繋ぐファシリテーターの役割が強い。
活動を通して博美さんは、ママたちに
「人と人とが繋がる素晴らしさ」を一番に伝えているのかもしれない。
ママになる時、女性は人と繋がり、何かを始めるチャンスを得る。
子どもは、そんな素晴らしいギフトをもって生まれてきてくれるのかもしれない。
それならば、勇気をもって一歩踏み出してみたい。
すっかり規模の大きくなった現在のプロジェクトの中核を支えてくれているお母さんたちは60名ほど。
そして、300組の親子が活動に参加している。
今回のインタビューは、乳幼児親子の交流の場「にっこりRoom」にお邪魔させていただいたが、
活動されているお母さんたちの生き生きとした姿がとても印象的だった。
今の活動を続けながら、今後は現在関わっている乳幼児と高齢者や障害者
を繋ぐようなことにも取り組んでいきたいのだとか。
人と人とを繋ぐお母さんたちの取り組みは、
まだまだ広がっていきそうだ。
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